臨時コンテンツ 2009年12月11日報道の脂肪吸引の医療事故について

2009年12月11日、『某大手美容外科で脂肪吸引の手術を受けた70代の女性が、手術から2日後に死亡していたことが分かった。司法解剖したところ、腸管に傷が付いていたことが判明したため、手術との関連を捜査している。』と報道されました。

山川雅之総院長

脂肪吸引は、確実な痩身法として、日本国内だけでも、年間数十万人の方が施術を受けられていると言われています。
確率から言っても、非常に稀なことだからニュースになるのですが、病気と違い緊急性を要す手術ではないからこそ、慎重な検討が必要です。

死亡事故の原因として考えられるのは、

  • 1、麻酔によるもの
  • 2、脂肪塞栓(エコノミークラス症候群)
  • 3、手術手技のよるもの

と分類されます。

今回の報道は、3によるものと考えられます。
通常、医師が脂肪吸引に熟練していれば3による医療事故は防げるはずです。

それぞれの原因について、解説しておきます。

1、これは脂肪吸引にかかわらず、外科手術一般にあるリスクです。
全身麻酔など呼吸、循環に大きく影響する施術であればそれなりの設備とマンパワーがなければ不測の事態に対応することができません。
短時間で、切れが良く、できるだけ負担の少ない麻酔を選択することが大切です。
2、これは脂肪吸引特有のものです。
粘度の増した血液が肺の血管に詰まると起こります。
長時間、同じ姿勢の手術で、脱水が重なるとリスクが増します。
したがって狭い飛行機内で、同じ姿勢で長時間いると、同じ問題が起きます。(エコノミークラス症候群)したがって、十分な水分を補給し、時々動くことが大切です。
脂肪吸引の手術後も水分を多く取り、寝込まないで、日常生活を送ってもらうことを推奨しているのはこのためです。
3、通常の脂肪吸引の手技で腸管を突き破ることは、考えられません。
腹部には腹直筋をはじめとした筋群があり、皮下脂肪層と腹膜、内臓を隔てています。
先端が鈍なカニューレがここを突き抜けることはよっぽどのことです。

報道が正しければ、今回の事故は、高齢による筋力の低下、ヘルニアなど腸管の異常、皮下脂肪層と腹腔内の区別がつかないほど、医師の経験が極端に不足していた。などの原因が、重なったということが推測されます。

これらを防ぐためには、

  • 1、負担の少ない麻酔法で、
  • 2、術中だけでなく、術後も寝込まない負担の少ない施術を選択し、
  • 3、経験の豊富な医師を選ぶことが重要です。

皆さんは、広告でよく見かけるから安心とか、値段が安いからと言って、なんとなくクリニックを選んではいないでしょうか?
美容外科とはいえ、良い施術であれば、自然とリピータや患者さんの紹介が広がります。
今回のクリニックに限らないことですが、
大量な広告で、値段が格安ということは、その分、経験の少ないドクターを使ってでも数をこなさなければならず、どうしても無理な診療の悪循環に陥りがちです。
死亡事故はもちろんですが、そうでなくともクオリティーを犠牲にすれば、その代償は、結局、高くつくことになります。